
[ I IN湯山 皓インタビュー② ]
―― 植栽から生まれるオフィスラウンジの3つの役割
WORK with ART Project 開発ストーリー

3つの用途を選択できる柔軟性
―― 植栽はすべて本物なのですよね。土の表面を触ってみると、しっとりしているような。
湯山 皓(以下、湯山)本物の生木が使われています。下に敷いている苔部分には少し人工的な手が加えられていますが、元は自然のものです。しっとりしているのは、誰かがお水をあげてくれたのでしょう。
―― 生きたものがあることで、空間に温かみを生んでいるように感じました。空間の中央にこの植栽がレイアウトされていることにはどのような意図があるのでしょうか。
湯山 植栽が中央にあることで、場としての役割ごとにフロアを区切ることを意図しています。このフロアは大きく分けると3つのエリアに分かれていて、完全にリラックスして過ごすことを想定した待合いスペース、会話や休憩、仕事など用途を柔軟に選ぶことのできるミーティングスペース、しっかり座って仕事をするためのワークスペースがあります。それぞれ置いているソファやテーブルも異なっていて、例えばワークスペースには生地や座り心地が柔らかくなりすぎないソファをレイアウトしています。

―― 実際に腰をかけてみると、それぞれの座り心地には見た目以上の違いがあると思いました。それでいて、どこに座っても心地良さを感じとりました。
山口 腰をかけた際に目に映る植栽の姿が、エリアによってそれぞれ異なるシーンになるように設計をしています。また、植栽があることで人々の視線が柔らかく遮られるような空間にもなっています。
自宅とオフィスを緩やかに接続する
―― ひとりで集中することも、誰かとディスカッションすることも、そのときどきに応じて選ぶことができる。
湯山 当初の目的を少しの間だけ忘れて過ごすことのできる場所が、ワークスペースには必要なのではないかと考えています。頭の中にどこか余白の部分があることで、新しいアイデアが生まれるのではないでしょうか。このフロアがそういった余白をつくるための場所になることを期待しています。

―― オフィスでデスクに向かうのとは違うかたちで、自分の考えや仕事を前に進めるきっかけをつくることができそうです。
湯山 このビルで働く皆さんの自宅と、ビル内のオフィス、その中間に位置するのがこのオフィスラウンジフロアであるという認識を持っています。自宅と職場は、本来はどこかではっきり区切られているものではないはずです。しかし、都市的なワークスタイルにおいては、家では家らしく過ごす、オフィスではオフィスらしく過ごさなければいけないといったような態度を迫られているような気がしてしまう。だからこそ、そのどちらでもない、中間領域があってもいいのではないかと思っています。